「心美……ごめん……」 え? 何を謝ってくれたの? 「弁当を作ってくれたのに…… 床に落としちゃってさ……」 「あれは、私が手を離しちゃったから」 「ありがとな。 弁当……おいしかった……」 落としてぐちゃぐちゃになったお弁当、 食べてくれたんだ。 それだけで嬉しくて。 「今、時間あるかな? 綺月君に聞いて欲しいことがあるから」 微笑みながらお願いしたのに。 綺月君の顔は、ひきつったまま。 私を見ようともしない。