爪が食い込むほど、 手のひらをぎゅっと握りしめ。 「綺月……君……」 何とか、大好きな人の名前を 声に出したけれど。 弱々しい私の声なんて、 ハートを浮かばせたキャーキャー声に かき消されただけ。 その時、綺月君と目が合った。 綺月君の瞳は、想像以上に冷たくて。 怒りをぶつけられたような眼差しに、 私の体が震えだす。 まだ、昨日のことを怒ってるんだ。 ちゃんと謝って。 話し合って……それから……