綺月君に
お弁当を渡す勇気が出ないまま、
あっという間に時間は過ぎ。
3時間目の授業が、終わってしまった。
次の授業が終わったら
お昼休みになってしまう。
早く綺月君に、お弁当を渡さなきゃ。
覚悟を決め。
お弁当ポーチを抱え、綺月君の教室に。
中を見回すと、綺月君は
自分の席に手をつくように立っていて
いろんなクラスの女子に囲まれている。
どうしよう。
綺月君にお弁当を渡すだけなのに、
緊張してきた。
鼓動が早まり。
顏も強張ってしまう。
笑顔を作りたいのに。
そんな心の余裕は、どこにもない。
でも、お弁当は渡さなきゃ!!



