逆行令嬢は元婚約者の素顔を知る

「では、生花にしましょう。形として残らないものなら相手を困らせる可能性も少ないですし、基本的にお花を贈られて嫌がる女性もいないでしょう」
「そういうものか……? 俺には何をすればいいのか悪いのか、まるでわからないが」
「それはこれから学べばよいのです。まだ時間はたくさんあります」
「わかった。心から謝罪して、婚約を承諾してもらえばよいのだな!」

 やはり、キールがいると頼もしい。
 自分だけでは解決できなかった難問も彼と力を合わせれば、よりよい結果が得られる。現に今、どん底だった気分もかなり軽くなった。

(彼女好みのプレゼントを用意し、一生懸命に謝れば、彼女だって邪険にはしないだろう。婚約だって前向きに検討してくれるかもしれない)

 しかしながら、まるで心を読んだようなタイミングで、キールが苦言を呈する。

「……ジュード様、婚約の話は時期尚早です。親同士が婚約に納得していても、エステリーゼ様が嫌がっている以上、無理に迫るのはよくありません」
「だ、だが、それなら一体いつ婚約できるんだ?」

 エステリーゼの婚約者はまだいない。
 つまり早く予約しておかないと、婚約者の座を別の男に奪われる可能性がある。
 内心焦る俺に、キールは優しく諭す。

「焦りは禁物です。エステリーゼ様と仲良くなりたいのでしょう? でしたら少しずつ仲を深めていくしかありません」