悶々と考える中で、ふと気になってリストにもう一度目を通す。
今の今まで忘れていたが、園遊会の日、行方不明だった令嬢がいたはずだ。まだ五歳の子どもだと思って眼中になかったが、もし彼女が行方不明の令嬢だったのなら、すべての辻褄は合う。
令嬢ごとの外見の特徴をまとめた紙と見比べ、俺は目を疑った。
(エステリーゼ……それが君の名前だったのか……)
髪色や瞳の色も一致している。そもそも、彼女が同世代より高めの身長だと前もって知っていれば、こんな回り道をしなくても済んだはずだ。
先入観は視野を狭める。そのことを痛感し、長く伸びた前髪をかき上げた。
(だが不幸中の幸いだ。彼女に婚約者はまだいない。もともと俺の婚約者候補だったのなら、父上の説得も難しくないはずだ)
長く息を吐き出して、俺はリストを置いて部屋を出た。
有名な画家の風景画が並ぶ廊下を抜けて階段を上る。今すぐ走り出したい衝動を抑えて、早足で目的の部屋を目指す。
当主の執務室兼寝室である、突き当たりの広い部屋の前で立ち止まった。
一刻も早く話したい。しかし、すぐに冷静を欠くのは次期当主にふさわしくない。どうにか逸る気持ちを落ち着けようと、その場で深呼吸を繰り返す。
ぐっと気を引き締めるが、ドアを叩く手は少し震えた。
「ジュードです。今、よろしいでしょうか?」
「入りなさい」



