気分を変えようと、ペンを机に置いて立ち上がる。窓を開けて外の空気を吸い込んだ。
まもなく陽が沈む。空は藍色に染まりつつあり、秋の冷たさを含んだ風がそよそよとカーテンを揺らしていた。
同じく領地に戻っているエステリーゼはどうしているだろうか。
(会いたいとさえ言えない男のことなんて、きっと思い出すこともないだろうな……)
案外会えなくて清々しているかもしれない。それだけのことをしでかしたのだ。
婚約者となってから積み重ねてきた年月の溝は、本当にいつか埋まることはあるのだろうか。けれど、その問いに答える者などいない。
夕食を呼びに来たキールに呼びかけられるまで、俺は過去の自分の行いを反芻しては落ち込むのを繰り返していた。
◆◇◆
社交シーズンが始まり、俺はエステリーゼとともに王家主催の舞踏会に出席していた。その年の最初の舞踏会ということもあり、普段は領地にこもっている貴族も含めて数多くの紳士淑女が話に花を咲かせていた。
王家や高位貴族主催の舞踏会に出席するとなると、毎回ドレスや装飾品を新調しなくてはならないため、お金が裕福でない貴族はこの舞踏会だけ参加する例も珍しくない。
しかし招待客が多ければ、当然挨拶回りをする貴族の数も比例して多くなる。
まもなく陽が沈む。空は藍色に染まりつつあり、秋の冷たさを含んだ風がそよそよとカーテンを揺らしていた。
同じく領地に戻っているエステリーゼはどうしているだろうか。
(会いたいとさえ言えない男のことなんて、きっと思い出すこともないだろうな……)
案外会えなくて清々しているかもしれない。それだけのことをしでかしたのだ。
婚約者となってから積み重ねてきた年月の溝は、本当にいつか埋まることはあるのだろうか。けれど、その問いに答える者などいない。
夕食を呼びに来たキールに呼びかけられるまで、俺は過去の自分の行いを反芻しては落ち込むのを繰り返していた。
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社交シーズンが始まり、俺はエステリーゼとともに王家主催の舞踏会に出席していた。その年の最初の舞踏会ということもあり、普段は領地にこもっている貴族も含めて数多くの紳士淑女が話に花を咲かせていた。
王家や高位貴族主催の舞踏会に出席するとなると、毎回ドレスや装飾品を新調しなくてはならないため、お金が裕福でない貴族はこの舞踏会だけ参加する例も珍しくない。
しかし招待客が多ければ、当然挨拶回りをする貴族の数も比例して多くなる。



