ウォルトン伯爵家の裏手にある庭は畑があり、基本的に身内しか立ち入らないプライベートゾーンだ。俺は婚約者として一度だけ案内されたことがある。奥に大木があり、その下で本を読むのが好きなのだと同行していたメイドが昔こっそり教えてくれた。
記憶を頼りにゆっくり歩を進めると、楽しそうに話す複数の声が聞こえてきた。
どうやら一人きりではないらしい。
彼女たちから死角になる位置を確保し、木陰からそっと様子を窺う。
角度的にエステリーゼの表情はわからなかったが、彼女の腕の中には、丁寧にブラッシングされた上品な毛並みの白猫がいた。
俺の記憶が正しければ、伯爵家で猫は飼っていないはずだ。となると、そばにいる令嬢の飼い猫だろう。砕けた様子で話している様子から、相当気を許している相手だろうと推測がつく。エステリーゼの正面に座る令嬢は遠目でしか確認できないものの、その容姿には見覚えがある。
(ふむ、亜麻色の長い髪にピンクのリボン……ということは、エステリーゼと一番親しいランファート子爵令嬢か。先客がいたのでは出直すしかないな)
ただでさえ恥ずかしいのに、よりによって彼女の友人の前でプレゼントなど渡せるはずがない。
足音を立てないように退散しようと決めると、ふと彼女たちの会話に自分の名前が出てきて思わず動きを止める。
記憶を頼りにゆっくり歩を進めると、楽しそうに話す複数の声が聞こえてきた。
どうやら一人きりではないらしい。
彼女たちから死角になる位置を確保し、木陰からそっと様子を窺う。
角度的にエステリーゼの表情はわからなかったが、彼女の腕の中には、丁寧にブラッシングされた上品な毛並みの白猫がいた。
俺の記憶が正しければ、伯爵家で猫は飼っていないはずだ。となると、そばにいる令嬢の飼い猫だろう。砕けた様子で話している様子から、相当気を許している相手だろうと推測がつく。エステリーゼの正面に座る令嬢は遠目でしか確認できないものの、その容姿には見覚えがある。
(ふむ、亜麻色の長い髪にピンクのリボン……ということは、エステリーゼと一番親しいランファート子爵令嬢か。先客がいたのでは出直すしかないな)
ただでさえ恥ずかしいのに、よりによって彼女の友人の前でプレゼントなど渡せるはずがない。
足音を立てないように退散しようと決めると、ふと彼女たちの会話に自分の名前が出てきて思わず動きを止める。



