逆行令嬢は元婚約者の素顔を知る

 エステリーゼは俺の言葉を額面通りに受け取ったようで、さっさと踵を返してしまった。結果的に例年と同じく彼女の背中を見送ることになり、俺は内心頭を抱えた。

(いつも通りに接したら、こうなるじゃないか! どうして成長しないんだ俺は。今年は頑張ると決めたのに。くっ、このまま早々に帰っては男が廃る……!)

 拳を握りしめ、うつむいていた顔をバッと上げる。
 だがエステリーゼを探しに行こうとする矢先、運悪く他の貴族から声をかけられてしまう。

「ああ、ジュードくんじゃないか。久しいね」
「……閣下。ご無沙汰しております」

 無下にはできない相手だったため、俺は笑顔をはりつけて話の輪に混ざった。
 これから売り出す特産品から始まった話は次第に長い孫自慢に変わり、集まった貴族たちが二人抜けたところで、適当な理由をつけて俺もその場を辞した。
 急いでパーティー会場をぐるりと回ってみたが、エステリーゼの姿は見つからない。

(彼女は今日の主役だ。いないはずはいない。よく探せ。……先ほど聞き込みをしたメイドから、エステリーゼが屋敷の中にいないことは裏が取れている。となると……裏庭のほうか?)

 今回、裏庭は一般開放されていない。