髪には生花を編み込んでおり、まるで花の妖精のような愛らしさだが、ふと目に留まったパールオレンジの口紅にドキリとする。
全体的にクリーム色でまとめたドレスは、裾にかけてオレンジ色で濃紺をつけていた。ドレスの裾には黄緑の刺繍糸で蔓草が描かれている。
端的に言うと、とても可愛かった。
けれども、俺はいつものように減らず口を叩くので精一杯だった。
「毎年出席しているのは婚約者の義務だからだ。君の婚約者でなければ、わざわざ来るわけがないだろう」
「それもそうね。だったら、その義務はもう果たしたでしょう? わたくしとしては、すぐにお帰りいただいても一向に構いませんけれど?」
刺々しい口調と挑発的な視線に怖じ気づきそうになるが、公爵令息ならポーカーフェイスぐらい保って当然だ。
動揺した素振りを見せてはすぐに足をすくわれる。相手につけいる隙を与えるな。
公爵家で何度も繰り返し言われた言葉を反芻し、表情を引き締める。鼓動の音はさらに激しくなっていたが、気づかないふりをした。
いつも通りを意識し、俺はふんと鼻を鳴らした。
「わざわざ言われなくとも長居するつもりはない。挨拶回りが終われば、勝手に帰らせてもらおう。見送りは不要だ」
「……ああそう。どうぞご勝手に!」
全体的にクリーム色でまとめたドレスは、裾にかけてオレンジ色で濃紺をつけていた。ドレスの裾には黄緑の刺繍糸で蔓草が描かれている。
端的に言うと、とても可愛かった。
けれども、俺はいつものように減らず口を叩くので精一杯だった。
「毎年出席しているのは婚約者の義務だからだ。君の婚約者でなければ、わざわざ来るわけがないだろう」
「それもそうね。だったら、その義務はもう果たしたでしょう? わたくしとしては、すぐにお帰りいただいても一向に構いませんけれど?」
刺々しい口調と挑発的な視線に怖じ気づきそうになるが、公爵令息ならポーカーフェイスぐらい保って当然だ。
動揺した素振りを見せてはすぐに足をすくわれる。相手につけいる隙を与えるな。
公爵家で何度も繰り返し言われた言葉を反芻し、表情を引き締める。鼓動の音はさらに激しくなっていたが、気づかないふりをした。
いつも通りを意識し、俺はふんと鼻を鳴らした。
「わざわざ言われなくとも長居するつもりはない。挨拶回りが終われば、勝手に帰らせてもらおう。見送りは不要だ」
「……ああそう。どうぞご勝手に!」



