逆行令嬢は元婚約者の素顔を知る

 当然ながら婚約者である俺も招待されていた。公爵家の華やかなパーティー会場とは趣は違うが、和気あいあいとした雰囲気の中で開かれるお祝いの場は心地よいものだった。
 公爵家と比べれば規模は小さいものの、色とりどりの花が見ごろを迎える庭園を眺めながら楽しむ立食パーティーは、誰もがリラックスした顔で談笑している。
 この場に呼ばれている貴族はウォルトン伯と同じく穏健派だ。そのため、今日ばかりは社交場特有の腹の探り合いも鳴りをひそめている。

(落ち着け俺……今日こそエステリーゼにプレゼントを渡すんだ……!)

 今日は彼女が生まれた特別な日だ。
 半年前から吟味に吟味を重ね、稀少石を中央に置いたオーダーメイドのネックレスを工房に作らせた。宝石彫刻師に使う宝石の色を聞かれ、俺は彼女の瞳に似たイエローダイヤモンドを選んだ。
 婚約者への誕生祝いの品は、フロックコートの内側ポケットの中に忍ばせている。問題は、これを彼女に渡すスマートな方法だった。

(去年はプランAもBも不可能になり、プランCさえも不発に終わったからな……。今回は前回の教訓を活かして……)

 頭であらゆるパターンを想定して解決策を模索していると、呆れたような声が真後ろからした。

「……今年も来てくれてありがとう、と言うべきかしら?」

 ゆっくり振り返ると、そこには不満げな顔をしたエステリーゼがいた。