公爵家の跡取りという立場上、つけいる隙を与えないために決して弱音を見せてはならない。いつだって堂々としていなければ、すぐに足をすくわれる。貴族社会とはそういうものだ。
しかし、エステリーゼの前では俺はただの恋する男だった。
完璧貴公子と謳われる俺の感情をこれほど揺さぶれる相手は、彼女以外にいない。
慈しむように視線を注いでいると、エステリーゼは耐えきれないといったように、ぷいっと顔を横に向けてしまう。
「もし……わたくしを愚弄するような台詞を吐いたら離縁させていただきますが、それでも構いませんか?」
離縁という単語が出てきたことに驚きを隠せないが、ここで彼女に逃げられたら困る。
とっさに彼女の手首をつかみ、ずいっと顔を近づけて真剣な顔で言い募る。
「そんなことはしない。鏡の前で君を褒める練習をたくさんしてきた。俺は毎日だって君に愛を囁くと誓おう」
「…………」
「エステリーゼ?」
うつむく彼女を見て、俺は情けない声を出してしまう。
手加減していたとはいえ、再び拘束してしまった彼女の手首を解放する。けれども、エステリーゼはまだ目線を合わせてくれない。
もしかすると、ここが潮時なのかもしれない。こんなにしつこく詰め寄ったら大抵の女性は引くだろう。現にエステリーゼだって、何度も求婚の話を断っている。
(俺の望みは……一生叶わないのか……)
しかし、エステリーゼの前では俺はただの恋する男だった。
完璧貴公子と謳われる俺の感情をこれほど揺さぶれる相手は、彼女以外にいない。
慈しむように視線を注いでいると、エステリーゼは耐えきれないといったように、ぷいっと顔を横に向けてしまう。
「もし……わたくしを愚弄するような台詞を吐いたら離縁させていただきますが、それでも構いませんか?」
離縁という単語が出てきたことに驚きを隠せないが、ここで彼女に逃げられたら困る。
とっさに彼女の手首をつかみ、ずいっと顔を近づけて真剣な顔で言い募る。
「そんなことはしない。鏡の前で君を褒める練習をたくさんしてきた。俺は毎日だって君に愛を囁くと誓おう」
「…………」
「エステリーゼ?」
うつむく彼女を見て、俺は情けない声を出してしまう。
手加減していたとはいえ、再び拘束してしまった彼女の手首を解放する。けれども、エステリーゼはまだ目線を合わせてくれない。
もしかすると、ここが潮時なのかもしれない。こんなにしつこく詰め寄ったら大抵の女性は引くだろう。現にエステリーゼだって、何度も求婚の話を断っている。
(俺の望みは……一生叶わないのか……)



