「どうしたら…相手を嫌な気持ちにさせずに済むの?」


「…は?」



「今、疲れるって言った。私、そんなつもりないから…」


「つもりなくてもさせてんだよ」


「うん…。直したい」


「無理だろ」


「うっ…」



「できたらとっくに直ってんじゃねーの?」



その通りだ。


オオカミさんの言う通り…。



気づいたら、オオカミさんの隣に正座をしていた。



オオカミさんと、友達になりたい。


ふと、そう思った。



「ここで、何してるの?」


「あー…誰にも言うなよ」


「うん」



「コイツの世話」


「…イヌ?」



「俺んちイヌ飼えねぇから。ここに置いてる」


「いいの?」


「知らね」



「オオカミさん、動物好き?」


「だったらなんだよ。てか、オオカミさんってなに」



「名前知らないから。なんとなく、オオカミさん」



「俺の名前、狼《ロウ》っつーから、あながち間違っちゃいねぇけど」


「ロウ?」



本物の、オオカミだった。