ガンッ!!
突如、教室に響き渡った物音。
さっきまで騒がしかったのが嘘のように、シンと静まり返る。
みんなは一斉にある方へ顔を向けた。
「ワーワーギャーギャーうるせぇんだよ」
一言そう言って、その男の子は机に伏せた。
一匹オオカミ。
そんな感じがした。
それからはみんな静かになっちゃって、私に群がったあの大群も一瞬でいなくなった。
私もそっちの方がよくて、お昼休みも1人で学校をぶらついた。
自販機を求めて、1階の廊下を歩いていた時だった。
窓の向こうの、草むらが揺れているのが目に入って。
何かがいる気がして、渡り廊下から外に出てその草陰に近づいた。
恐る恐る…覗いたその時。
見覚えのある金髪と、耳の横まで伸びた髪の毛に隠れてチラッと見えたピアスが光って、あの1匹オオカミだとわかった。