オマエが堪らなく愛しいよ。

再び電話を耳に当てると、お兄ちゃんの明るく陽気な声が届く。



「どうだ、驚いたか〜」


「クラクション、びっくりした」


「そうか〜!で、この兄様と出かけようじゃないか」



「え?」


「御門が帰ってくる前に帰りゃーいいの。兄ちゃん、小兎とデートしたい」



「那榎《ナエノ》さんとうまくいってないの?」


「なんでそうなる!?」



シュンとしたお兄ちゃんはまるでイヌだ。


見えないしっぽが見える。





こうやって私を連れ出そうとしたことは、今までにも何度かある。



こんな私にも欲しいものの一つや二つあるので。


お兄ちゃんの買ってやる!を口実に、家を抜け出したことがある。



ミカ君には、お兄ちゃんがこれを届けに来てくれたと伝えれば信じてくれた。


今日もその予定で家を出て、お兄ちゃんの車に乗り込んだ。