クルミ先生はここの卒業生らしくて、青春は美術室だったのよって、頬を赤らめて教えてくれた。


その時の先輩とは、今でもお付き合いしていて、プロポーズもされたんだって。



自分の私情を、こんなに生徒に言ってもいいものなのか。




「ここが、折坂さんのクラスね」


「うん。あ、ウランちゃん」



「あっ、宮永さんね。折坂さんのこと気にして、私にいろいろ聞きに来てたわ」


「気にして…」



「それとね、今授業してるのが担任の竜ヶ崎《リュウガサキ》先生」




クルミ先生の視線と同じ方へ目を向ける。



映ったのは、教壇に立っている…わけではなく、座って足を組んでなんともだるそうに教科書を読む担任の姿があった。


確かに、めんどくさいことが嫌いそうだ。



クルミ先生も手を焼いているそうで。



なんでクルミ先生が副担任で、あのだるそうな人が担任なんだろうか。




一瞬、てんちょと重なって見えて、いい大人ってみんなそうなの?ってちょっと疑いたくなった。