「ったく…。言い出したら止まんねぇな、ホント。悪かったな。お詫びにコレ、持ってけ」
「コレ、数量限定のチーズケーキ…」
「お、記憶力いいじゃん。アイツ、菻之介《リンノスケ》っつって歳はオマエの1個上だ。あんなだけど、根はマジメなやつ。許してやってくれ」
「怖かった」
「初対面であれはパンチでかいよな〜」
「声も大きい」
「歩くメガホンだからな、アイツ」
「あの人来る時、小兎ココ来ない」
「ははっ。もうすでに苦手な人認定されたな〜」
どうやら、てんちょはあの人嫌いではなさそうだけど…。
私はもう会いたくないので、お暇することにした。
あ、そういえばてんちょに謝ってない。
迷惑、かけたのに。
…あの人も、助けてくれた、ちょっと。
「お礼…でも、会いたくない…」
む〜…。
お店、閉まる頃に行ってみよう。
ありがとうとごめんなさいは、ちゃんと言える子になってね。
小さい頃に、お母さんにそう言われた。
約束だから。


