お兄ちゃんに連れ出してもらって街に出た時、制服を着て友達と楽しそうに話しているところを見て、いいなって眺めてた。




私にはそんな相手がいなくて。



もう一生、私とは無縁の存在なんだとさえ思った。




「おーい、悪かったって。落ち込むな、な?」



「てんちょ、私、友達作りたい」


「おぉ、ガンバレ」



「アドバイス、欲しい」



「友達作りのか?…俺に?」


「うん」




少し黙った後、てんちょはタバコを1本くわえた。


そして煙を1つ。





なかなか返事をくれない。


あ、なんか察し…。



「てんちょ、友達…」



「憐れむな。いるけど、なんつーか友達作りを俺に聞かねぇ方がいいと思って」


「なんで?」



「ワルダチだからだ」


「?」



「友達っつーのはさ、喧嘩を重ね女を取り合い、そうした中で生まれるもんなんだよ。わかるか?少女」




うん、わかんない。



てんちょに聞いた私がいけなかったことはわかった。