私が深く考えすぎてるのかな。




キモチ、どこいっちゃったんだろう。



遠くに聞こえるシャワーの音が、ノイズのように響く。






多分、1年前のあの時。


ミカ君が、よくスーツを着るようになった頃からだ。


ミカ君から笑顔が消えて、私に対する言動も変わったのは。



その頃から私は、学校にもあまり行かなくなった。




ミカ君が、家に居てと、僕の目の届く範囲に居てと、小さな子どもみたいに震えていた。


言う通りにしていた。



そうでないと、ミカ君が簡単に壊れてしまいそうだったから。





次期会長という重圧。


それがミカ君にのしかかってしまったのが理由。






「ミカ君、アサだよ」


「…もう、少し」


「うん。でも、殿田《トノダ》さんが迎えに来るよ」



「トノなんか、待たせとけばいい」



殿田さんも時間守って来てくれてるんだから。


布団に丸まるイモムシは、そんなこと聞いちゃいないけど。