―――…




「あれ、采斗いないわね」




舞台が終わって、余韻に浸るのもそこそこに席を立ったら、どこからか佐保さんが現れて采斗の楽屋に連行された。




「佐保さん、私帰ります。采斗疲れてるだろうし…」


「YUUに連れてこいって言われたんだから仕方ないでしょ?ここで少し待ってて、YUUすぐに来ると思うから」



そして佐保さんは「じゃあね。私も忙しいのよ」と言い残してさっさと出て行ってしまった。





ここが、芸能人の楽屋…!





生まれて初めて足を踏み入れたそこに、思わず周りをキョロキョロ見渡してしまう。





その時、ガチャッとドアが開いた。




わ~采斗にキョロキョロしてるところ見られた!恥ずかし……ん!?




ドアを開けて入ってきたのは采斗ではなく、




「あれ?こんなところに女の子がいるー。もしかしてアヤの妹?」





スラッと高い背に、切れ長の瞳が特徴的な凄まじく整った顔。




この人、知ってる。というか多分、日本で知らない人はいないだろう。





「おっ、乙藤竜生!!……さん」



「はは、呼び捨てでいいのにー。ってかリュウでいーよ?」