『ああ、もし僕と君の生きる世界が、100年遅かったなら。
君と同じ世界で生きることが出来ただろうか?』



そして、あっという間に采斗の舞台、初日公演の日。



頑張って取った最前列の席で、私は舞台の上で演技をする采斗に釘付けになっていた。



演目の舞台は、大正時代。


采斗演じる売れない作家の青年と、売り出し中の女優、織原エマ演じる資産家の令嬢の悲しい恋物語。



そこに私が普段見ている“結城采斗”の面影は全くなくて。





『例えこの肉体が朽ち果てようと…また何度でも生まれ変わった違う世界で、また何度でも君と出逢い、愛することを誓おう。そうすれば…この別れは、何も辛くはない』




舞台の上の采斗は…これが創作の世界だと、感じさせないくらい




決して結ばれない女性を愛してしまった、一人の悲しき青年だった。






【俺、優里が他の男見てキャーッてなってるとこ、見たくない】






采斗はあんな風に言ってたけれど




余裕で、采斗しか、見えないよ…