いいのだろうか。


本当にいいのだろうか。



あんなにかっこよくて優しい采斗が、私のこと好きなんて。


しかもただの好きじゃない。“すっごく”好きだなんて。




「いいのだろうか~!」



「いんじゃない?」



「えっ!?」





気づくと、すぐ隣に稟琉と一岡が立っていた。


無意識に歩いているうちに、いつのまにかマンションの外に出ていたらしい。




「浮かれやがって…」




カバンを肩に担いだ一岡が私のことを恨みがましい目で見ている。




「もしかして上手くいったわけ?」


「…う、うんまあ。その節は本当にありがとう、一岡」



あの時一岡が背中を押してくれなかったら、今もグジグジ、ウダウダしていたかもしれない。



私の言葉に、なぜか稟琉が励ますように一岡の肩をポンと叩いた。




「いつか紹介してよね、優里」


「くそー!ディスってやるからな!くそー!」


「マサ…見苦しいよ」




荒ぶる一岡を取り押さえる稟琉。どうしたんだろう一岡。でも。





この2人には、いつか紹介したいな。



絶対秘密の恋だって分かってるけど。2人は大事な友達だから…例外でも、いいかな?




2人と並んで駅までの道を歩きながら、今日の夕飯はまた、采斗の好きなハンバーグにしようかな。なんてぼんやり考えた。