言った瞬間、しまったと思った。 そのくらい切なく、采斗がギュッと目を細めた。 「なんだよ…それ。本気で言ってんの?」 でも、出てしまった言葉はもう取り消せない。 黙り込む私に、采斗が「は」と自嘲的に笑う。 「はじめてだ…自分の仕事が、こんなに憎らしいと思ったの」 「…あや、と」 「……ごめん」 采斗が私から離れる。 「頭冷やしてくる」 バタン、とやけに大きく、ドアが閉まる音が響いた。