「なんで?楽しいじゃん。俺はじめてだし、同棲とか」


「同棲じゃなくて同居ね、同居!ただの同居!!とにかくこんなわけ分かんない生活も卒業までの辛抱なんだから…つまりあと約11か月…それまで何事もなく過ごせば…」



ぶつぶつ呟く私を見て、采斗がため息をついた。


私から離れてソファに座る。




「はー、なんか萎えた。優里は高校卒業したら、俺とはもうバイバイのつもりなんだ?」



「バイバイっていうか…もしかしてだけど、いやほんと有り得ないと思うけどまさか采斗…結婚とか婚約とか、真に受けてるわけじゃないよね?」



「受けてるけど?そのつもりで俺はここに来たし。結婚しよ?優里」





数時間前に引っ越してきたばかりのダンボールだらけのこの部屋で、采斗がマジメな顔でそう言った。




…私は慌ててキョロキョロと部屋を見渡す!





「? 何やってるの優里」


「これドッキリだよね?絶対そうだよね?人気俳優と突然婚約することになったド一般人女は果たしてどうする!?とかそういうタチの悪いドッキリだよね!?」


「いや違うけど…って聞いてないね」




こうして采斗との同居生活1日目の夜は、隠されているであろうカメラを探しているうちに終わってしまった。