「え…でも、まだハンバーグが…あれ!?」



いつの間にか、采斗のお皿からハンバーグが忽然と消えていた。



「大事に食べてたんだけど、おいしすぎてペロッと食べちゃった…」




そう言って照れくさそうに笑う采斗……可愛い。










「かんぱーい」



コツン、とグラスとグラスを合わせる。



冷蔵庫の中にあったコーラで乾杯した。




眼下には夜景が広がっていて、頬を撫でる風は、まだ少しだけ冷たい。





「一か月、だね」


「え?」


「俺たちが一緒に住んでもうすぐ一か月」


「そっか。もうそんなに経つんだ。元々幼なじみだからかな?なんか、まだあんまり2人暮らしって実感わかないよね」


「いや俺はわきまくりだけど」




采斗がコーラを飲んで苦笑する。




「ずっと夢だったし…毎日浮かれまくり。ほんとは今すぐ仕事やめて、毎日優里と一緒にいたいくらい」


「……采斗、またそんなこと言って、からかわないでって何回…」



「ほんとに、からかってると思ってる?」





夜の空気の中で、采斗の綺麗な瞳が光る。





「俺が俳優になったの。優里に好かれたかったからだよ」