「ねえ!今朝のアレ何!?」



学校が終わって家に帰るなり、私は采斗にそう詰め寄った。


少し前に学校から帰ってきたらしい采斗はもう部屋着姿だ。




「アレって?」




なんかすました顔でお茶なんて飲んでるしー!





「…咄嗟に誤魔化してくれたのは感謝してる!でも、何で一岡の手振り払ったの?何で一岡に喧嘩売るようなことするの?あの場はただ穏便に済ませとけば…」



「何で何でって…こっちのセリフなんだけど」




采斗が少し乱暴な手つきでマグカップを置いた。そして鋭い目つきで私を見る。




「何でアイツ、あんな普通に優里に触れようとするの。で、何で優里はそれ許してんの」


「許すって…だって一岡だし…」


「ふーん。一岡、ね」



立ち上がった采斗が近づいてくる。



なんか采斗…すごく怒ってる?




思わず後ずさりしたけど、すぐに背中が壁にぶつかって。




トンッ…





逃げ道を塞ぐように静かに顔の横に置かれた手。




「ねえ、優里は俺のでしょ?」




仄暗い視線が落とされる。




「…他の男に触らせないでよ」