「なに?喧嘩?」



スタスタ近づいてくる稟琉と一岡。


もうダメだ、終わった…




私の頭の中で響き渡る『号外!号外で~す!!』という声。




『号外です!今朝がた、人気俳優YUUとどっかのブスが言い争っている姿が目撃されました!』


『このどっかのブスはYUUにチャラ男などと発言しており、暴言罪として警察が事情を…』




嫌だ!!




「お願い逮捕だけはっ…」



「何言ってんの優里。で、誰?この不審者」



「不審者…?」




稟琉の視線を追って隣を見上げる。そこには





「どうも、はじめまして。柏木さんの隣人です。ちなみに怪しい者ではないです」




いつの間にかサングラスとマスクを完璧に装着した采斗が立っていた。




「そんなカッコで言われても説得力ねーよ」




一岡がジロジロと不躾な視線を送る。




「つーかお前今掴んでなかった?柏木の腕」



「そっ…それは!ちょっとゴミ捨て場のことで討論になって!!」




一岡の視線から采斗を隠すように、間に割り込んだ。