「おかえり。遅かったね」



マンションに戻ると、すでに采斗が帰ってきていた。



「うん…ちょっと探し物してて」




なんか昨日の今日で、気まずくて采斗の顔が見れない。





「探し物って?見つかったの?」


「…見つからなかった。シャーペンなんだけど」


「シャーペン?」


「…うん。持つとこがガラスになってて…中にドライフラワーが入ってるやつ」




勇気を出して、顔を上げて采斗を見た。



でも采斗は




「そっか。また新しいやつ買えば?」




簡単にそう言い放っただけだった。





…新しいやつ買えば、って。





「…やっぱりもう、あの頃の采斗じゃないんだね」


「優里?…怒ってんの?」


「怒ってないよっ!というか何で覚えてないの!?ばかっ!!」





あのシャーペンは采斗が中2の誕生日にくれたやつなのに…!