「珍しいよねー、優里が課題やるの忘れるとか」



理科室に向かっている途中、隣を歩く稟琉が私の顔を覗き込んできた。



「もしかして具合悪いとか?なんかさっきも顔色悪かったし、手も微妙に震えて…」


「全然!全然元気だよ!ただ昨日は気づいたら寝ちゃってて…」




采斗のことを考えていたらいつの間にか寝てて、気づいたら朝だった。


6時間目の数学の課題、結局まだ終わってないし…



5時間目の理科が終わったらすぐに教室戻ってやらないと。




「具合悪くないんならいいけどさー」




私の顔から視線を逸らして、前に向き直る稟琉。




「何かあったら言ってね?なんか優里、最近ちょっと様子が変な気がして」




ドキッと心臓が跳ねる。




「…大丈夫だよ、私はいつも通り。変わらないから」




采斗が変わっても…私は変わらない。



私は私で、自分の生活を生きるだけ。