「見てこれ!表紙がYUUだったから思わず買っちゃったー!」


「わ~かっこよすぎ…この目で見つめられたらやばいわー」


「ほんとかっこいいよね、彼女とかいるのかなー」


「同棲中の彼女とかいたらショックすぎて殺したいかも…」




殺!?



ボキッと数式を書いていたシャーペンの芯が勢いよく折れた。




落ち着け…落ち着け私!




私はそう自分に言い聞かせながら震える手でカチカチッと新しく芯を出す。




クラスでYUUの話が出ることなんて珍しくもなんともないし。


私は采斗の彼女でもなんでもないし…同棲じゃなくて期間限定の同居だし!!





「優里ー、あと5分で昼休み終わるよ。そろそろ理科室移動しなきゃ」



「うそっ、もうそんな時間!?」




呼びに来た稟琉の声に、私はシャーペンをいつものようにシャツの胸ポケットに刺すと慌てて立ち上がった。