「優里大丈夫?」



稟琉が箸を拾って渡してくれる。




「なんか顔色も悪いよ?保健室行く?」



「う、ううん、大丈夫。ありがと」




テレビでもネットでも、2人がお似合いカップルだという声はよく見かける。このまま結婚して欲しい!なんてコメントも見る。




采斗のことは信じてるし、これが単なるデマだって分かってる。でも…




けっこう、きつい…。









『ただいま近くにおりません。お手数ですが、後ほどおかけ直し下さい』




「またか……」





ため息まじりにスマホの通話終了ボタンを押して、今度はラインの、采斗とのトーク画面を開く。



私が送った最後のメッセージに、既読マークはついているが返信はきていない。




「采斗、何してんだろう。仕事忙しいのかな…」





でも既読スルーは傷つくよ~!





ベッドに倒れこんだ私の耳に





『まろやか緑茶味、新発売!』





とても聞き覚えのある声。


思わず身を起こすと、つけっぱなしだったテレビにはちょうど采斗が出演するチョコレートのCM。



チョコレートを持って微笑む采斗。


私の気も知らないで…



と、なんだか恨みがましい気持ちになってくる。完全にただの八つ当たりだ。





「なんか…ほんとに、テレビでしか会えない人になっちゃったな…」