「あ、采斗って…そんなことまでリュウに話すの?」


「うーん、話したっていうか、俺が根掘り葉掘り聞きまくったというか」


「そうなんだ」


「(自称)親友だから~!」




リュウは嬉しそうだ。


一見軽くてチャラいけど、きっと本当はいい人なんだろうなあ、すごく。






リュウがいい人だったという事実と、妙にくすぐったいような気持ちを抱えて帰路についた。


マスターに「特別だよ」と教えてもらったハンバーグのレシピを反芻しながら、いつもの電車に乗る。


今度練習しよう。采斗は絶対に、喜んでくれる。





その時のことを想像してニヤける私は、まさかその時すでに




『これから普通のカップルにはない試練も、もしかしたらあるのかもだけど…』




その試練が間近に迫っていることに、全く気付いていなかった。