――最寄り駅から歩くこと20分。
住宅街の奥にある、小さいけれど可愛らしい洋食屋さんに着いた。
リュウの知り合いだというマスターと奥さんはとても良い人そうで。
オーダーしたハンバーグは衝撃的な美味しさだった。
「溢れ出る肉汁…!濃厚なソース…!こんなの食べたことないよ!!」
「あはは、優里ちゃん食レポうまいねぇ~」
「だってほんとに美味しいんだもん!」
「なんかその反応、はじめてここに連れてきた時のアヤに似てるかも」
リュウがその時のことを思い出したようにクク、と笑う。
「采斗とはよくここ来るの?」
「はじめて連れてきたのは俺だけどねー、その後は一人でちょくちょく来てるみたい。あいつ俺と仕事と学校以外で会うの嫌がるんだよね~」
親友なのにな~、と言っているリュウの“親友”の定義が気になるがそれは置いといて。
「リュウって采斗と学校も同じなの?」
「うん、そうだよ?芸能コース。ちなみにエマもだよ」
「そうなんだ…」
エマさんもなんだ。
そりゃそうだよね、みんな多忙すぎて普通の高校は大変だろうし、都内に芸能コースがある学校なんて何校もないし。
私が見たことのない教室で、同じ制服を着て笑いあう采斗とエマさんの姿を想像して、また胸がモヤモヤした。
今日の仕事も采斗、エマさんと一緒なのかな…



