「采斗は今日、午後から仕事なんだよね。がんばってね!」




玄関でそう言うと、采斗は「はぁ~」と憂鬱そうなため息をついた。




「仕事行きたくないな。
一日中、優里と家でゴロゴロしてたい…」


「采斗…」




思わずキュンッとしてしまった。




「あれ?もしかして今、キュンとしちゃった?」



なぜかバレてるし!!




「ねえ優里、友達とのランチはまた今度にして、今日はずーっと一緒にいよ?俺も仕事休むし」




そして悪魔の誘惑…!




「だっだめだよ!仕事は行かないと!佐保さんに私が抹殺される!!」


「それは…やりかねないけど」


「でしょ!?」


「じゃーこれで我慢するかあ」




采斗が近づいてきた、と思ったら、優しく頭を抱き寄せられて



チュ



おでこにキスされた。




「ピンク色のリップ、可愛いからおでこで我慢した。俺偉いでしょ?」




褒めて~とでも言いたげに笑う采斗はまるで子供みたいで。



キュキュキュ~ンッと心臓が狭くなる。




“母性本能をくすぐられる俳優ランキング”があったら確実に1位だと思う…!!




「じゃっじゃあ行くね!」


「うん、ランチ楽しんで」




本当にランチに行く約束をドタキャンしたくなりそうで、慌てて家を出た。