「はあ、どうも。非の打ちどころのないイケメンです」

「うっざ!」


 そんな会話をして、樹くんと由佳ちゃんはふたりで笑い合う。

 私も楽しい気持ちになった。

 ――でも。

 ふたり、本当に仲がいいよね。

 気心が知れててなんでも言い合えるって感じで。

 もしかしてどっちかがどっちかのことを好きなのかなあ。

 もしかしてお互いに好き合っていたりして……。

 ――あれ?

 なんで私、今心臓がズキっとしちゃったんだろ?


「スコア百八十越えとか! 本当にうまいねー、樹は」

「いやー、それほどでも」

「……すぐに調子に乗るなあ樹は」

「素直な男ですから。――でも栞だって久しぶりにしては上手だったし、由佳だってスコア百超えるようになったじゃん」


 二ゲーム目が終わって、レーンの前でふたりがそんな会話をしている。

 だけど私は、心に感じた痛みの原因が分からなくて、ぼんやりとしてしまった。


「……? どうしたの、栞」


 そんな私の様子に気づいたらしい樹くんが、ベンチに座っている私の顔を覗き込んできた。

 私ははっとして、笑みを作る。