柑橘系のような爽やかな、とてもいい香りだった。
「ほら、笑って」
耳元で樹くんが囁く。
画面の中の彼は、満面の笑みだった。
――さ、さっきよりますます笑えないんだけどっ。
男の子にこんなに密着されたことなんてない私は、緊張して倒れそうだった。
画面に映る私の顔は、トマトみたいに赤い。
私は無理やり口角を上げて笑みの形を作って、なんとか笑っているように見える顔にした。
その状態で撮影が終わり、樹くんはやっと私から離れた。
――はあ。
思わず私は深く深呼吸をする。
呼吸するのも忘れるくらい緊張していて、胸が苦しい。
「栞どうした? 大丈夫?」
撮影ブースから画像編集ブースに移ろうとした樹くんが、様子のおかしい私を見て首を傾げる。
「――あ、えっと……。ちょっと、うん。大丈夫だから気にしないで」
私は作り笑いを浮かべてなんとかそう答えた。
――い、樹くんが近すぎてドキドキしちゃったなんて恥ずかしくて言えないよ。
「そっか。画像の編集だけど、適当に終わらせちゃうな。俺もよくわかんないし」
「うん」
「ほら、笑って」
耳元で樹くんが囁く。
画面の中の彼は、満面の笑みだった。
――さ、さっきよりますます笑えないんだけどっ。
男の子にこんなに密着されたことなんてない私は、緊張して倒れそうだった。
画面に映る私の顔は、トマトみたいに赤い。
私は無理やり口角を上げて笑みの形を作って、なんとか笑っているように見える顔にした。
その状態で撮影が終わり、樹くんはやっと私から離れた。
――はあ。
思わず私は深く深呼吸をする。
呼吸するのも忘れるくらい緊張していて、胸が苦しい。
「栞どうした? 大丈夫?」
撮影ブースから画像編集ブースに移ろうとした樹くんが、様子のおかしい私を見て首を傾げる。
「――あ、えっと……。ちょっと、うん。大丈夫だから気にしないで」
私は作り笑いを浮かべてなんとかそう答えた。
――い、樹くんが近すぎてドキドキしちゃったなんて恥ずかしくて言えないよ。
「そっか。画像の編集だけど、適当に終わらせちゃうな。俺もよくわかんないし」
「うん」



