君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように

 とんでもないことを言われて、私は硬直してしまう。

 こ、この人は何を言っているの!?

 っていうかキスって……!?

 ええっ?

 ドギマギしてしまい、言葉が出て来ず口をパクパクとさせてしまう私。

 しかしそんな私を見て、樹くんは目を細めてふっと笑う。


「じょーだんだよ。本気にしないで」

「えっ……」


 冗談?

 ほんと?

 疑わしかったけれど、私なんかに樹くんともあろうお方がそんなことをするわけはない。

 うん、本当に私をちょっとからかっただけなんだろう。

 ……たぶん。

 さっきから樹くんに振り回されている私だったけれど、彼はそんなことどこ吹く風で、ベッドからのんびりと立ち上がり、大きく伸びをした。

 ――あれ。

 そういえばなんで、樹くんは保健室に居るんだろ。

 もしかして具合が悪かったのかな。

 でも今はそんな風に見えないなあ。

 具合が悪かったけれど、ベッドで休んでたら治ったとか?

 そう言えば、樹くんって遅刻や早退が多い気がする。

 もしかして実は病弱とか……?

 でも教室で見る時は、いつも元気そうにしている。