きっと今だって、私の気持ちを文字にしてくれる。

　そう思えてならなかった。

　そして思った通り、気持ちをスラスラとノートに書くことができた。


『ずっとずっと、このノートとやり取りしている人のことが私は気になっていたの。この優しい人は誰なんだろうって』


　樹くんへの深い想いは、このノートのやり取りをした時から始まる。

　だから私は、ノートの彼に……あなたに関わり始めた時の気持ちから書いた。

　私がノートの書き込みを見せると、樹くんは充血した目を見開いて、私の書き込みを眺めた。――だけどしばらくしてから。


「ペンとノート、貸してくれる？」


　私は頷いて、樹くんにペンと図書館ノートを渡した。

　樹くんは、図書館ノートに返事を書き始めた。

　ペンを持つ手が震えている。

　目が覚めたばかりで力が入らないのだろうか。

　それとも、いろいろな感情と今戦っているため、震えてしまっているのかもしれない。


『俺も気になった。でも俺はすぐに突き止めに行って、栞だって分かったよ。図書室で栞が友達とこのノートについて話してたから』


　いつもより、つたない樹くんの字。