「あ! やっぱり恋愛事じゃなーい? 私たち高校生にとって一番重大なことだよ! 好きな人に告白する勇気がないとか!」

「なるほど……」


 恋愛なんて本の中で十分な私にとっては、あまり重大なことではない。

 でもきっと、大多数の高校生にとっては恋愛ってとっても大事なことだよね。

 でもそうだとしたら、私じゃまったく役に立てないなあ。

 でもお返事を書かないと申し訳ないよね。

 考えた結果、私は『誰かと気晴らしに遊んだり、直接相談したりしてみるとか?』と書いた。

 自分が何かに悩んだら、親友の琴子に相談するだろうし。

 それにこの人の相談が恋愛事って決まったわけじゃないし、これならどんなことに対しても差し支えない返事なはず。

 うん、これで大丈夫だよね。


「それにしても、この人って一体どんな人なんだろうね」


 私が書き込みを終えると、琴子がノートをマジマジと見ながら言った。


「それが全然分からないんだよね……」


 この一年のことを思い起こしながら私は言う。

 私もずっと気になっていたけれど、一度もこのノートに書きこむ現場を見たことがなかった。