その次の日、樹くんは朝から学校に来ていた。

 顔色もそんなに悪くなくて、私はほっとした。

 ――やっぱりただの寝不足だったんだね。

 きちんと眠ったら、治ったんだ。

 その日は昼休みのあとに早退したし、次の日は三時間目の途中に来るという重役出勤だったけれど、それはいつものことなので気にならなかった。

 きっと樹くんの癖なんだろうって。

 そんな樹くんに対して、私は積極的になろうとしたけれど、やっぱりなりきれなかった。

 放課後私の方から遊びに誘ったり、昼休みにふたりきりになれるような場所に行ったり、たまに自分の方から手を繋いだり、そんなことは気張ってしてみた。

 だけど、逆に言うとそれくらいしかできなかった。

 私が必死で積極的になったところで、樹くんにとっては「単なる友達同士のふれあい」くらいの行動しかできなかったんだ。

 そんな私にとって、心の支えはノートの彼だった。

 私が樹くんに対して頑張っている間、私は彼と何度もやり取りをした。


『あなたのおかげで少し積極的になれました、ありがとう。でも相手は私のこと好きじゃないみたい~(笑)』

『えー、そんなことわかんないじゃん。結構仲はいいみたいだし、いっそ告白してみたら?』

『告白!? そんなの無理だよ。勇気が出ません……』

『えー、でもふたりでよく出かけるくらい仲がいいなら行ける気がするけどなあ。それに君っていつも俺の悩みに真剣に答えてくれるじゃん。すげー優しいよね。その男が羨ましいくらいだわ(笑)』