お母さんと喧嘩して、『どうしよう』って私が書いたら、優しく励ましながらも『素直に謝ろう』と諭してくれた。

 この一年で、私は名前も顔も知らないこの人と、いろいろなことを共有したと思う。

 一度も話したことがないのに、この人は誰よりも私の心を知っている。

 今日はなんて書いてくれたんだろう。

 私はこの人が書いた文章を読んだ。

 しかしどういうことなのかよくわからず、眉をひそめた。


『重大な決断を迫られていて、とても悩んでいる。そういう時、どうする?』


 重大な決断……?


「何のことなんだろう?」

「さあ……?」


 隣で一緒にノートを眺めていた琴子に問うも、やっぱり分からないみたいだった。

 重大な……?

 勉強のこと? 進路のこと? 家族のこと? 友達のこと?

 重大なことって、その人によっていろいろあると思うんだけど……。

 具体的に何なのか書いてくれないから、まるで見当がつかない。

 私が首を傾げていると、何かを思いついたらしい琴子が、ポンと拳を手のひらで叩いた。