今にも溢れ出てしまいそうなこの気持ちをこっそり抱え続けるのはやっぱり苦しくなる気がして、私は頑張ってボールペンを動かしたんだ。

 すると、次の日の放課後にノートを見たら、彼から返事が来ていた。


『俺は、自分を好きになってくれた人を嫌いになるなんてこと絶対にないな。付き合うか付き合わないかは、また別だけどさ。それに女の子に積極的に来られて嫌な男はきっといないよ』


 ――やっぱりこの人に相談してみてよかった。

 心からそう思った。

 『きっと大丈夫だから告白してみたら?』なんていう、無責任な後押しではない、彼の優しいアドバイスが身に染みる。

 自分が女の子に告白されたらどう思うかっていう、リアルな彼の優しい気持ちが深く伝わってくる。

 ――積極的、かあ……。

 もともとはそうでもなかったけれど、ここ数年は消極的の代名詞とも言えるほどの存在になってしまった私。

 そんな私が積極的になんて、なれるのかな?

 まず思ってしまったけれど、彼の書き込みの中の「積極的」という文字を見たら、なんだかやたらと勇気づけられた。

 私が積極的になってみても、いいのかな……?

 いいんだよね?

 ノートを閉じ、私は「よし」と小声で言った。

 今日は偶然にも、樹くんと出かける日だった。

 私は「積極的、積極的……」と頭の中で復唱しながら、樹くんと待ち合わせしている校門の方へと向かったのだった。