だけど私はすぐに「だから、樹くんのことは好きじゃないってば」って自分に言い聞かせるのだった。

 だけど今日は、図書委員の仕事が終わったら樹くんと映画に行く約束をしていた。

 心臓のドキドキを抑えながらも、やっぱり楽しみな気持ちは大きくて。

 私はさっさと仕事を終わらせようと、テキパキと作業をしていた。

 すると、仕事が終わりかけた時にカウンターの隅にあったノートが目に入った。

 ――この前図書委員の仕事をしに来た時、まだノートに返事はなかったなあ。

 『あなたって病気なの?』と私が書き込んでから、ずっと返事がなかったノート。

 常に気になっていたし、いつもなら図書室に来ると真っ先にノートを開く。

 だけど今日は、これから行く映画のことで頭がいっぱいで、ノートの存在をつい失念していた。

 今日は返事、来てるかな?

 そう思いながら私はノートを開いた。


『実はそうなんだ。周りには隠してるんだけど、結構めんどくさい病気で。好きな人がいるんだけど、病気のことがあるから諦めようかなって』


 彼からそんな返事があった。