樹くんに、私の過去のトラウマを話した後。

 私と彼は、今まで以上に距離が近くなった。

 教室では目が合う度に樹くんは笑ってくれたし、休み時間にはよく話しかけに来てくれた。

 由香ちゃんも交えて、三人で昼休みにランチをすることも頻繁にあった。

 私が日直の仕事に追われていた時、樹くんが日直の仕事のひとつである黒板を消すのを手伝ってくれたり、花瓶の水を交換してくれたりしたときもあった。

 他にも、高いところにある物を取ってくれたり、移動教室に一緒に行ってくれたり……。

 樹くんは毎日、些細な事でも私を助けてくれた。

 どうしてこんなに優しくしてくれるんだろ……。

 ――こんな風にされたら、気になっちゃうじゃない。

 最近、樹くんと目が合う度にドキドキしてしまう。

 ずっと彼の姿を目で追ってしまう。

 話しかけられただけで、心の底から嬉しくなってしまう。

 ――私、樹くんのことを好きになっちゃったんじゃ。

 そう思ったけれど、私は慌ててその感情を打ち消すんだ。

 仲良くはしてくれているし、もう樹くんとは友達なんだってさすがに私だって言える。