先生がいてくれるなら③【完】



──翌日、広夢さんの取りなしで先生と会うことになった。


広夢さんが車で迎えに来てくれて、私はいま、再び先生のマンションにいる。



先生に何と言えば良いのかと困り果て、ただ顔色を窺うことしか出来ない。


すると、先生が「昨日の、あの後のこと……広夢から聞いた」と口火を切った。


「細川が来たって……?」

「はい、えっと、遠くから様子を窺ってただけみたいですけど……」


先生は、はぁ、とため息を吐く。


「お前、なんでそんなにあの男に懐かれてるわけ?」

「えっと、分かりません………」


先生はもう一度ため息を吐いて、ソファに姿勢正しく座っている私を引き寄せて、ギュッと抱き締めた。


「もうお前のこと、閉じ込めておこうかな……」

「えっ」

「俺以外の男見るの、禁止。見られるのも禁止」

「そ、そんな、無茶な……」


言ってることがめちゃくちゃだ。


でも、そう言われると、私のことが本当に好きでいてくれてるんだなって分かって、ちょっと嬉しいけどね……。



「私は、先生以外は好きじゃないですってば」

「……」

「ほんとです」


私はそう言って、先生の背中に手を回し、ギュッと先生を抱き締めた。