──翌日、広夢さんの取りなしで先生と会うことになった。
広夢さんが車で迎えに来てくれて、私はいま、再び先生のマンションにいる。
先生に何と言えば良いのかと困り果て、ただ顔色を窺うことしか出来ない。
すると、先生が「昨日の、あの後のこと……広夢から聞いた」と口火を切った。
「細川が来たって……?」
「はい、えっと、遠くから様子を窺ってただけみたいですけど……」
先生は、はぁ、とため息を吐く。
「お前、なんでそんなにあの男に懐かれてるわけ?」
「えっと、分かりません………」
先生はもう一度ため息を吐いて、ソファに姿勢正しく座っている私を引き寄せて、ギュッと抱き締めた。
「もうお前のこと、閉じ込めておこうかな……」
「えっ」
「俺以外の男見るの、禁止。見られるのも禁止」
「そ、そんな、無茶な……」
言ってることがめちゃくちゃだ。
でも、そう言われると、私のことが本当に好きでいてくれてるんだなって分かって、ちょっと嬉しいけどね……。
「私は、先生以外は好きじゃないですってば」
「……」
「ほんとです」
私はそう言って、先生の背中に手を回し、ギュッと先生を抱き締めた。



