♪火野side


中学生の頃にサッカー部に所属していた俺は、大会でよく顔を合わせていた木之本と高校で再会を果たし、以降クラスは違えど親睦を深めることとなった。
木之本と俺は同じスポーツをしていたという共通点しかないほどにタイプが違ったのだが、その同じスポーツをしていたという影響が、自分が思っていた以上に大きかったのである。

お互い部活に所属することはなく、俺は医者である父親からのすすめで塾に通っていたし、木之本は高校入学と同時にアルバイトを始めていたということもあり、放課後はなかなか都合があわなかった。
しかしどこかで予定が噛み合えば、木之本の家で録画したサッカーを観戦したり、レジャースポーツ施設に行ってキックターゲットで競ったりしたりしていた。
そして初めてカラオケに行った時、実は音楽の趣味も合うという事実が発覚し、これが後のバンド結成に繋がることとなったのだ。