ライブハウス内にあるトイレに入り、持って来ていた私服に素早く着替える。
ただのジーパンに地味なパーカー、そしてスニーカーというかなりラフな格好は、清楚な制服姿との差異が激しい。
だからこそカモフラージュになると思っているわけだけど。
おまけにキャップ帽も被れば申し訳程度に目元を隠せるうえ、ボーイッシュな雰囲気も出せて、優等生お嬢様な普段の自分と別人を演出できる。

正直、こんな平凡な見た目の私が四人の男子に囲まれて歩いていると、周囲から注目を浴びることは少なくない。
仁や火野は特にビジュアルが良いから、ただでさえ目を引くというのもある。
黄色い声を上げられたり、逆ハーレム状態の私に怪訝そうな眼差しを向けてくる女性も多い。だけどそれももう慣れた。

私は先に外に出ていったみんなを追う前に、アンドリューさんとマリエさんへ向かって、


「さっきの質問、答えは保留でお願いします」


そう告げてからライブハウスを後にした。