開きっぱなしだった本をパタンと閉じる。
……二人の言う通り、火野はとてもいい人だ。
うちの学校に多い、いわゆる優等生の風格があるせいか親近感が沸くというか。

だけど勝手に私とお似合い扱いされるのは、火野にとっても迷惑じゃないかな。
火野だってちゃんと好きな子がいるだろうし、実は私が知らないだけで既に彼女がいたりするかもしれない。
尚も笑いながら雑談を続けている二人につられて私も笑っていると、突然ドアが開いた。


「おいかおる!カラオケ行こうぜー」


やってきたのはスバル。その後ろに歩夢。


「え、今日は練習しないの?」
「仁が近くのカラオケ屋の割引券もらったから、今日はそこで歌の練習しようってさぁ~」
「有効期限が今日までなんだと」


首を傾げた私に答える歩夢とスバル。


「使えるもんは使えるうちに使っておかないと損だからな!」


どことなくおばちゃん臭がするスバルの家庭的な意見に頷いてから、私は出掛ける準備を始める。