放課後。


私はそっと、引き出しから手紙を取り出す。


ラブレター?

そんなんじゃない。

パパとママから渡された手紙だ。


私がこの町へ引っ越す直前に渡された手紙。

親元を離れてひとりで暮らすのは大反対された。

だけど、最終的に許しを得たのだ。

そのときに、渡された手紙を開く。

そこには私の新しい家の住所が書かれているのだ。


私が『前の町に帰りたい』と泣いて騒いだから、パパとママが諦めてマンションを用意してくれたのだ。

親不孝者でごめんね、と心の中で謝りながら、私は席を立つ。

新しい住所が書かれた手紙を握り締めて、私は学校を出た。