お前の隣は俺だけのもの。

「なんだよ」



うるさい、というように潤は顔をしかめている。

私も顔をしかめてしまったけれど。



「委員会の仕事忘れていた! 行くよ!?」



怜央は菓子パンの袋を慌てて片付けた。

それにつられて、潤も片付けるけど。



「委員会の仕事なんかないよな?」

「潤が忘れているだけ!」



なんて、噛み合わない会話が繰り広げられている。

怜央の慌しさにつれられて、その場を立つ潤。

首をかしげながらも潤は屋上を出て行く。


怜央は委員会って言うけれど、本当に委員会なのか?

なんだか、嘘くさい。


それは碧も感じ取ったようで、首をかしげていた。


潤のあとに続き、怜央も屋上を出て行く。

一瞬、立ち止まったかと思えば、怜央は振り向いて。


パチッ!


私めがけてウインクを飛ばした。

なぜウインク?

首をかしげる私に、怜央は口パクで『が・ん・ば・れ』と言った。


なにを頑張るんだ。


疑問を残して、怜央は屋上を出て行った。


碧と2人きりの空間。


ああ。

怜央の言いたいことが分かった。

碧と仲良くできるよう頑張れよ、ってことか。


……沈黙。

沈黙が流れる。

碧のことだから、沈黙するくらいだったら教室戻る、とか言いそうなんだけどな。


ちらりと隣に座っている碧を見れば、空を見上げていた。