「ひ、ひさしぶ」

「初めまして。よろしくね?」



私の言葉にかぶせるように、“初めまして”なんて言う碧。


初めまして、って、なに?

私のこと覚えてないってこと?

あれだけ、引っ越すときに泣いていたのに?

今、私が引っ越してきたら、優しい笑顔で?


なんなの。

なんなの、なんなの。


幼稚園のとき、いじめっ子から碧を守っていたのは私なのに。

そんな私のことを覚えていないって。

薄情者め。


私はクラスメイトと先生からの痛い視線を振り払うように、教室中に響き渡る大きな声を出した。



「初めまして!? 九条 碧くん!?」



思い切り碧を睨む私。

そのまま、ドカッと椅子に座る。

しん、となる教室。

悪いけど、私は怒っているんだから。



「先生! 授業始めてください!」



後ろの席から大きな声を出す私。

先生は口を半開きにしているけど、私には関係ない。

なんといっても、私は怒っているんだから。